身近な税金に関する改正情報

19.相続時精算課税制度と相続税の贈与財産加算の改正(2024(令和6)年分以後の個人の贈与または相続開始から適用)


 (1)2024(令和6)年分以後に相続時精算課税制度の適用を受ける場合または既に2023(令和5)年分以前に相続時精算課税制度の適用を受けている場合には、その贈与者からの贈与額から毎年110万円まで課税されず、110万円以下の贈与を受けた旨の贈与税申告書の提出も不要です。
 ただし、初めて相続時精算課税制度の適用を受ける場合は、贈与を受けた日の属する年の翌年2月1日から3月15日まで(同年1月1日から3月15日までに納税管理人の届出をしないで日本国に住所および居所を有しないこととなる場合には、その住所および居所を有しないこととなる日まで)に相続時精算課税選択届出書を所轄の税務署に提出することを要します。

 (2)相続時精算課税制度の適用を受けていない場合の相続税の計算では、お亡くなりになった個人が、お亡くなりになった日から過去3年(令和10年は過去4年、令和11年は過去5年、令和12年は過去6年、令和13年以後は過去7年)以内に贈与をし、その贈与を受けた個人が相続により財産を取得したときは、その3年(令和10年は過去4年、令和11年は過去5年、令和12年は過去6年、令和13年以後は過去7年)以内に贈与を受けた金額(過去4年から過去7年以内の贈与合計額を限度として100万円を控除した残額。)も含みます。
 その贈与を受けた金額には、扶養義務者相互間における生活費または教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものその他の贈与税の非課税財産は含みません。

 (3)相続時精算課税制度の適用を受けて取得した土地または建物が、その贈与を受けた日からその相続時精算課税制度の適用の贈与者の死亡の相続税の申告書の提出期限までの間に震災、風水害、火災その他の災害によって相当の被害を受けた場合は、その災害によって被害を受けた土地または建物については、その価額からその被害を受けた部分に対応する金額を控除した金額を相続税の計算で加算します。

18.住宅借入金等控除、いわゆるローン控除の確定申告書に添付する書類の改正((1)および(2)((2)③(ロ)を除きます。)は2023(令和5)年1月1日以後に居住用家屋等をその者の居住の用に供する場合に適用。(2)③(ロ)は、2024(令和6)年1月1日以後に令和5年分以後の確定申告書を提出する場合に適用。


 (1)住宅借入等の年末残高等調書
 ①適用申請書の提出
 2023(令和5)年1月1日以後に居住の用に供する家屋について、住宅借入金等控除の適用を受けようとする個人は、その借入金等の金融機関等に対して、その者の氏名および住所、個人番号その他の事項を記載した申請書等(以下、適用申請書といいます。)を提出しなければいけません。
 ②調書の提出 
 適用申請書の提出等を受けた金融機関等は、その適用申請書の提出を受けた日の属する年以後10年以内(一定の場合には、別に定める期間)の各年の10月31日(その適用申請書の提出を受けた日に属する年にあっては、その翌年1月31日)までに、申請事項および提出者の12月31日(提出者が死亡した日に属する年にあっては、同日)における住宅借入金等の金額その他の事項を記載した住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書を作成し、その金融機関等の住所もしくは居所または本店もしくは主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければいけません。

 (2)金融機関等の残高証明書の不交付等
 ①住宅借入金等の金融機関等は、2023(令和5)年1月1日以後に居住の用に供する家屋については、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書の交付をしません。
 ②税務署の住宅借入金等の金額の記載
 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書の記載事項に、その年12月31日における住宅借入金等の金額が加えられます。
 ③申告者の添付不要
 (イ)残高証明書の添付不要
 上記(2)①により、確定申告書および給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の添付書類から住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書が除かれました。ただし、引き続き添付を要する場合があります。
 (ロ)請負契約書等の添付不要
 上記(1)①の適用申請書を提出した個人は、その旨を特定増改築住宅借入金等特別控除額の計算明細書に記載することにより、請負契約書の写しを確定申告書への添付に代えることがきます。ただし、税務署長が必要と認める場合には、申告期限後5年を経過するまでの間は、その写しの提出を求めることができます。

17.上場株式等の配当金と譲渡所得の改正(2024(令和6)年分以後の個人の住民税から適用)


 令和5(2023)年分の所得税の確定申告に基づく令和6(2024)年分の住民税の計算からは、上場株式の配当金と譲渡所得は、所得税と住民税が同じ課税方式となります。すなわち、令和6(2024)年分以後の住民税の計算は、所得税の確定申告で上場株式の配当金と譲渡所得を申告した場合は、住民税の計算でもこれらを除外できなくなります。

16.所得金額調整控除(2020(令和2)年1月1日以後から適用)


 (1)子どもなどがいる場合
 1月1日から1年間の社会保険料や源泉税を控除する前の給与の収入金額が 850万円を超え、その給与収入を得ている個人が、①特別障がい者、②年末に23歳未満の扶養親族を有する者、または③特別障がい者である扶養控除の対象となる同一生計の配偶者もしくは扶養親族を有する場合は、1千万円を限度とするその1年間の給与の収入金額から850万円を控除して得られる金額の10%に相当する金額をその給与の課税対象から控除します。

 (2)給与と公的年金の両方がある場合
 ①給与収入から最低55万円の給与所得控除額を差し引いて得られる金額と、②公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて得られる金額の合計額が10万円を超える場合は、①によって得られる10万円を限度とする金額と、②によって得られる10万円を限度する金額の合計額から10万円を控除した残額を給与から差し引きます。

15.寡婦控除 


 寡婦である場合には、27万円を所得税の課税対象額から控除されます。
 寡婦とは、次の者でひとり親に該当しないものです。
 (1)夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次の要件を満たすものです。

14.ひとり親控除(2020(令和2)年1月1日以後から適用)


 ひとり親である場合は、所得税の課税対象額から35万円が控除されます。
 ひとり親とは、①現に婚姻をしていない者、または②配偶者の生死の明らかでない者のうち寡婦に該当する者のうち、次の要件を満たすものです。
 (1)その者と生活を一緒にしている子で、給与収入の場合は年間103万円以下であるものを有すること。
 (2)給与収入のみの場合は年間677万7,778円以下、自営業のみの場合は売上金額から経費および青色申告特別控除額の合計額を控除した後の金額が500万円以下であること。
 (3)次の(イ)または(ロ)に該当する者がいないこと。
 (イ)住民票の世帯主である場合は、住民票の世帯主との続柄が世帯主の未届の夫である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされた者
 (ロ)住民票の世帯主でない場合は、その者の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされているときのその世帯主

13.基礎控除、給与所得控除および公的年金等控除額の変更(2020(令和2)年1月1日以後から適用)


 (1)1年間で1人につき所得税の課税対象から必ず除かれる金額である基礎控除額が38万円から48万円に10万円上がります。
 ただし、①給与収入だけで2,595万円を超える場合や、②事業収入や家賃収入から経費と青色申告特別控除額の合計額を控除した後の金額が2,400万円を超える場合は、段階的に基礎控除額が0円となります。

 (2)給与収入が850万円以下の場合は、給与の課税対象から除かれる金額である給与所得控除額が10万円少なくなり、課税対象額が10万円上がります。
 給与収入が850万円を超える場合で、特別障害者や23歳未満の扶養親族がいないときは、給与所得控除額は10万円を超えて減額し、基礎控除額が10万円増えたとしても、課税対象額が10万円超上がります。

 (3)給与収入が1,195万円以下で、公的年金の収入が1千万円以下の場合は、公的年金の課税対象から除かれる金額である公的年金等控除額が10万円少なくなり、課税対象額が10万円上がります。
 つまり給与収入相当額が1,195万円を超えたり、公的年金の収入が1千万円を超えなければ、基礎控除額が10万円増加するため税金は増えません。

12.ふるさと納税の対象とならない団体(2019(令和元)年6月1日から適用)


 東京都、小山町(静岡県)、泉佐野市(大阪府)、高野町(和歌山県)および、みやき町(佐賀県)に対して2019(令和元)年6月1日以後に寄付をしても、ふるさと納税の対象となりません。
 しかし、2020(令和2)年7月3日に泉佐野市(大阪府)、高野町(和歌山県)および、みやき町(佐賀県)について、2019(令和元)年6月1日から令和2年9月30日までふるさと納税の対象に総務大臣が指定しました。

11.配偶者特別控除額の改正(平成30(2018)年1月1日から適用)


 給与所得の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」または確定申告書Aの⑤もしくは確定申告書Bの⑨に特別控除額を控除する前の分離課税の所得金額(確定申告書の第3表の(59)から(69))を加算した金額が、900万円以下の日本に居住する個人の配偶者の給与収入が103万円を超えても、給与収入が150万円以下であるならば、配偶者特別控除額38万円が所得税の課税対象額から控除されます。
 ただし、その配偶者の給与収入が103万円を超えると、所得税法に規定する控除対象配偶者でなくなることによって、その日本に居住する個人が会社から受ける配偶者手当が0円となるかどうか、またはその配偶者の社会保険の加入義務となるかどうかなどによって、その個人とその配偶者の合計の手取り収入が変わることもあることにご留意ください。
配偶者の給与収入が150万円を超え、201万6千円未満である場合で、その個人の給与所得の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」または確定申告書Aの⑤もしくは確定申告書Bの⑨に特別控除額を控除する前の分離課税の所得金額(確定申告書の第3表の(59)から(69))を加算した金額が1千万円以下であるときは、配偶者特別控除額は36万円から1万円の範囲内となります。

10.国外に居住する親族を扶養控除等の対象とするための必要書類の改正


 給与所得者の年末調整や個人の確定申告で、日本に居住していない個人を扶養控除や配偶者控除の対象とするためには、平成28年から親族関係書類と送金関係書類を添付しなければいけなくなりました。手渡ししたことを証する領収書は、送金関係書類に該当しないことにご留意されてください。
 詳しいことは、国税庁のサイトで、申告・納税手続>税務手続の案内>源泉所得税関係>国外居住親族に係る扶養控除等の適用についてをご覧ください。

9.源泉税の改正


 発行済み株式総数の3%未満の上場株式を所有する個人が平成26年1月1日から支払いを受ける配当金と、平成25年12月26日(木)以後に特定口座のうち源泉徴収されるもので上場株式を売却した場合の譲渡益に対する源泉税率は、20.315%となります。

8.印紙税の非課税金額の改正


 領収証などの金銭の受取書に課される印紙税の非課税金額が、平成26年4月1日以降に作成されるものについて、記載金額が3万円未満から5万円未満となります。

7.相続税の改正
 平成27年1月1日以後にお亡くなりになった個人に適用される相続税の規定は、申告することによって相続税が0円となる場合のご説明をご覧ください。

6.平成29年(2017年)1月から共通番号(マイナンバー)法に基づく各人ごとのインターネットにおけるマイ・ポータルで、添付書類なしで確定申告ができる見込みとなりました。平成25年5月24日(金)に共通番号(マイナンバー)法が成立したためです。平成27年(2015年)10月以後に市区町村から住民票に記載されている住所に番号通知カードが郵送されます。
 番号には個人番号と法人番号の2種類があります。
 個人番号は12桁です。当初は税金分野(確定申告書、申請書や調書などに個人番号を記載)、社会保障分野および災害対策分野の3分野のみで利用されます。なお、特定の機関のみで一元管理はされません。
 法人番号につきましては、国税庁のホームページで名称、本店所在地および法人番号が公表され、検索が可能となります。
 政府(内閣府と総務省)が設置した個人番号に関する通話料が無料となる相談窓口の電話番号は、0120-95-0178(マイナンバー)です。平日の9時30分から22時、土日祝日の9時30分から17時30分までです。
 (注)個人番号カード交付申請書に貼付する顔写真は、カラーでも白黒でもどちららでもよいとのことです。

5.上場株式を所有されている方で含み益がある個人の方

 平成25年12月25日(水)までに特定口座の上場株式を売却した場合の譲渡益に対する源泉税率は、10.147%です。
 しかし、平成25年12月26日(木)以後に特定口座の上場株式を売却した場合の譲渡益に対する源泉税率は、20.315%となります。


4.上場株式を所有されている方で配当金を申告される個人の方

 平成24年分の所得に基づいて計算される、平成25年6月から徴収される国民健康保険料は、これまで市町村民税額に基づいて計算していた市区町村であっても、全国的に所得金額に基づいて計算される見込みです。各人の属する市区町村のホームページの国民健康保険のページまたはその広報でご確認されてください。
 従って、配当金を申告される個人の方は、所得税と住民税とともに国民健康保険料(減免の適用がある個人は減免後の保険料)も計算に含めて、配当金を申告した方が有利か否かを判断されてください。
 なお、この変更による影響は、平成24年分までの国民健康保険料を市町村民税額に基づいて計算していた市区町村に属し、事業所の社会保険や組合健康保険に加入していない、所得金額が33万円を超える個人が受けます。また、75歳以上の個人は、国民健康保険ではなく、後期高齢者医療保険の加入となります。

3.平成24年6月からの住民税に関する改正
 (1)平成24年1月1日に16歳未満の子の扶養控除が33万円から0円となります。これにより住民税の課税対象額が平成23年と変わらなくても、該当する子1人につき概算で(33万円-0円)×10%=3万3千円の増加となります。
 (2)平成24年1月1日に16歳以上19歳未満の子の扶養控除額が45万円から33万円となります。これにより住民税の課税対象額が平成23年と変わらなくても、該当する子1人につき概算で(45万円-33円)×10%=1万2千円の増加となります。
 (3)上記(1)と(2)の規定は平成24年6月分から適用されます。給与所得者で勤務先から住民税が控除される場合には、平成24年6月に支給される給与から適用されます。これ以外の場合には、平成24年6月末までに計算される平成24年分の住民税から適用されます。
 (4)根拠条文は地方税法34条1項11号、34条9項、37条、314条の2第1項11号、314条の2第9項、314条の6です。
 (5)上記の住民税とは、都道府県民税と市区町村民税を意味します。

2.消費税の改正
 消費税率が平成31(2019)年10月1日から10%(お酒と外食以外の飲食良品および週2回以上発行される定期購読による新聞は、8%)とする法律が成立しました。この消費税率とは、消費税の税率および地方消費税の税率との合計の税率のことで、現在は8%です。
 また、平成35(2023)年10月1日以後は、インボイス制度が適用されます。


 1.非上場株式の譲渡損の改正
 平成28年1月1日以後に上場されていない株式を売却し、その売却損が生じた場合には、その売却損はなかったものとみなされます。根拠条文は平成28年1月1日から施行される租税特別措置法37条の10第1項です。
 なお、平成27年中までの非上場株式の譲渡損益は、上場株式の譲渡損益と通算できます。平成27年中までの非上場株式の譲渡益は、上場株式の譲渡損の繰越控除もできます。根拠条文は現行の租税特別措置法37条の10第1項と租税特別措置法37条の12の2第6項です。